既に患者さん本人には顛末報告を行っていたというような場合に、
弁護士からの書面に対して再度回答する「義務」までは無いと考えられます。
但し、連絡を受けながら放置したこと自体が不誠実な対応とみられる可能性はありますし、
患者さんの疑義に対してはきちんと病院の見解を示しておかれる方が望ましいと考えられます。
もちろん大丈夫です。ご相談を受けた場合、まずは病院の見解を詳しく伺って、反省すべき点がある場合には早期の和解に向けた対応をとり、医療行為や説明に特に問題がないと考えられる場合でもまずは患者さん側に病院の見解を正しく伝えるなどの対応をとります。
裁判になれば、書面の作成や医学文献の検索、証人尋問の準備などに多くの時間を要し、対応する職員が本来業務以外のことに労力を割かなければならなくなって、心身共に疲弊してしまいます。そのため、病院に非がないと考えられる場合であっても、裁判前の解決をはかるため話合いを行うことを検討する必要があります。場合によっては医療ADRや調停など第三者を介した手続を利用することもあり得ます。
病院は、診療契約に基づき、治療を行う前の説明だけではなく、治療を行った後でその結果について患者さんに報告する義務も負います。
とはいえ、何度説明しても納得されないような場合に無限に面談要求に応じなければならないというようなことはなく、場合によっては医療ADRや調停など第三者を介した手続を利用することもあり得ます。
まずは、SOSがあれば警備員や複数職員が集まり対応できる態勢を整え、暴力行為に及ぶ場合などは警察への通報も行うということを全職員に周知する必要があります。具体的にどんな場面でどんな発言があったかを記録(できれば録音、難しい場合はメモなど)に残し、記録を示しながらあらかじめ所轄の警察署に相談しておくと、より速やかな臨場につながることが期待できます。
医療従事者の発言一つで法的な過失の有無が決まるというものではなく、基本的に、人間としての気持ちのままに接して頂くことで問題ありません。
医師法上、診察治療の求めがあった場合、医師は正当な事由がなければこれを拒んではならないと定められています(19条/いわゆる「応召義務」)。
裁判例の中には、
①医療機関・医師と患者の信頼関係が失われていること、
②診療・治療の緊急性が存在しないこと、
③代替医療機関が存在すること
を条件として正当事由ありと判断したものもあり(弘前簡易裁判所平成23 年12 月16 日判決)、このような場合に当たるかどうかが問題となります。判断に迷われる場合はどうぞご相談下さい。
裁判例上、どんな場合でも必ず応じなければならないという一般的な「開示義務」までは認められないと解されています。もっとも、患者さんに重篤な障害が残った場合の原因説明の場面など、一定の場合にはカルテ開示の求めに応じなかったことが問題とされる場合もあるので注意が必要です。判断に迷われる場合はどうぞ相談下さい。
当日対応した職員に事情聴取を行い、経過の確認をした上で、誰も預かっていないようであればそのとおり説明するしかありません。このようなトラブルを避けるためには、同行者があれば同行者、なくても複数の職員で、所持品をチェックリストによりチェックしたり、写真を撮って証拠を残しておく等の工夫をする必要があります。
入院費用の支払義務を負うのは診療契約の当事者である患者さんなので、原則として家族に請求することはできません。家族が入院に際し保証人となっていたようなケースでは家族に請求することもあり得ます。
必ず弁護士に頼まなければならないということはありません。病院として対応される場合の必要な書式の整備や、ある段階までは病院として対応され、解決がはかれない場合に以降の対応を弁護士に切り替える等のフローチャート作りなども対応できますので、どうぞご相談下さい。
念のため書面を取り交わしておいた方が望ましいです。金額が高額で、返済期間が長期間に及ぶような場合は、公正証書の形で作成しておくなどのことも検討する必要があります。私どもで対応できますのでどうぞご相談下さい。
どんな場合も必ず施設側の責任になるということはありません。裁判では、施設側が転倒事故を予見することができたか、転倒事故を回避することは可能であったかが、当該利用者の受入れから事故に至るまでの具体的な経過に基づいて判断されます。個々の利用者のリスクについて評価し、必要に応じて見直しもしながら、リスクに応じた具体的な事故防止策を講じていたと言えるかが大切です。
契約書は施設ごとの特性や利用者のニーズなどに合わせて作成する必要があり、一般的な書式を用いて作成しておけば大丈夫といえない場合もあります。消費者庁のホームページにも、「専用居室がどういう設備・構造になっているか契約書上明らかでない」、「サービス内容が契約条項で必ずしも明確にされていないものがある」、「入居一時金の性格が契約書上はっきりしない」、「施設側からの解約について予告の期間等がはっきりしない」などの問題点が指摘されているとの記載があります(「有料老人ホームにおける入居契約書」)。契約書等の作成についても対応できますのでどうぞご相談下さい。
契約者に対して請求しても支払がない場合、法的措置を講ずることを検討する必要があります。また、家族による経済的虐待の側面がある可能性もありますので、行政や地域包括支援センターにも相談し、成年後見人の申立てなども含めて対策を検討する必要があります。
職員を解雇する場合、客観的に合理的な理由があり、解雇することが社会通念上相当でなければなりません(労働契約法16条)。有期契約の職員を契約期間中に解雇する場合はさらにハードルが高く、やむを得ない事由がなければ解雇することはできません(同法17条1項)。まずは職員から事情聴取を行い、事実関係を確認した上で、前例にも照らして解雇が相当かどうかを検討する必要があります。迷われる場合にはどうぞご相談ください。
職員が長時間労働やハラスメントによりうつ病に罹患するなどした場合、労災の問題や、病院としての安全配慮義務違反による損害賠償責任の問題が生じます。まずは当該医師の勤務時間を確認し、本人からの事情聴取も行い、長時間労働やハラスメントの問題があれば早急に解消する方向で対処する必要があります。
合意による契約解消を目指し、辞めてもらいたいという話をすること自体は問題ありません。ただし、威圧的な言葉で退職届の提出を迫ったり、複数人で当該職員を取り囲み、長時間にわたり拘束して退職届にサインをさせたりしたような場合、当該退職届は無効と解される可能性が高く、注意が必要です。