労務問題

CASE

ハラスメント相談窓口に職員から「上長の管理職職員からハラスメントを受けている」との相談があり、匿名のままでの対応を希望されたため、全職員に対する一般的なアンケート調査を行い、その結果をふまえた指導という形で当該管理職職員に問題点を指摘するとともに、弁護士によるハラスメント研修を行い全職員の意識向上、職場環境の改善をはかったケース

※プライバシーに配慮し、実際の相談ではなく標準的なサンプル例となっております。

ある日、ハラスメント相談窓口をお引き受けしている病院の職員(看護師)から、パワーハラスメントの訴えがありました。「上長である看護師長から何をしても叱られ、萎縮してしまいさらにミスを重ねてしまう、患者さんにも申し訳ないので何とかならないか」とのご相談でした。

事務所で面談を行い、さらに詳しくお話を聞いたところ、当該看護師長との関係については相当前から悩んでおり、ようやく相談に至ったということでした。私からは、相談があったことを病院に伝え、看護師長からも話を聞いた上で、必要に応じ病院から注意をして頂くことではどうですかと提案しましたが、自分が相談したということが分かるとさらに虐められるので絶対にそうだと分からないようにしてもらいたい、とのことでした。

そこで私は、相談者の名前や所属は明かさないままパワーハラスメントの相談があったことを病院に伝え、相談者は自分の相談と分からない形で対処してほしいと望んでいることもお話ししました。

そして、病院と相談の上、病院全体でハラスメントについてのアンケート調査(悩んでいることはありませんかと一般的に問うもの)を行い、その結果をふまえて管理者を指導するという形で、当該看護師長に人事部から話をして頂くこととしました。

また、私の方でハラスメント防止研修を行い、当該看護師長を含めた管理者には必ず受けてもらうという対応をとりました。研修では、ハラスメントから自殺に至ってしまったような悲惨な裁判例も取り上げて話をしました。

後に相談者に話を聞いたところ、少しずつではあるが、当該看護師長の意識も変わってきたように思う、とのことでした。

アンケート調査は匿名で行ったため上記相談者のケース以外でも率直な意見を得ることができ、相談をきっかけに全病院として職員の意識の向上、職場環境の改善が図られたケースとしてご紹介致します。